目の治療法として一番に思いつくのが目薬だと思います。直接目の表面に浸透するので効果も出やすく、患者様にとっても治療を実感しやすい治療法だと思います。

では、世の中で正しい目薬の差し方を知っている人はどのくらいいるでしょう?こう尋ねられると「えっ、ただ目に入れるだけでイイんじゃないの?」と思われる方も多いと思います。実は、目薬にも正しいさし方があるのです。

 

ポイントは3つ

  • 目薬自体を汚さない − 目薬と一緒にバイ菌を目に入れることになります
  • しっかり効かせる − まちがったやり方をすると効果が弱まります
  • 副作用を出さない − 目薬もお薬ですので副作用が出ることがあります。
  1. まずは、石鹸を使って手をキレイにあらいましょう。
  2. 目薬を持っていない方の手で下まぶたを軽く下に引きます。
  3. 目薬の容器の先がまつ毛や目の表面に触れないように注意しながら、1滴だけ目の表面に点眼します。
    1. 目薬の先からバイ菌が入り、目薬容器の中で繁殖します
    2. 目薬は通常1滴で十分な効果がでるようになっています。1滴以上さすと、かえって副作用で目の表面が荒れてくることがあります
  4. 軽く目を閉じ、ティッシュなどで目がしらを1-5分間軽く押さえます。
    1. パチパチとまばたきをたくさんすると、涙と一緒に目薬が喉の奥に流れてしまいます手術後は傷口を押してしまうこともあるので、目を閉じるだけにします
    2. 手術後は傷口を押してしまうこともあるので、目を閉じるだけにします
  5. 目のふちにこぼれた目薬はしっかり拭き取ります。

容器を押すときに手がブレてしまい、うまく目の表面にお薬が落ちない時があります。慣れてくると失敗も少なくなるのですが、手がブレやすい方へおすすめのさし方があります。「ゲンコツ法」というもので、下まぶたを引っ張る方の手をゲンコツにして、そのゲンコツの上に目薬を持った手を乗せていただく方法です。失敗しやすい方は一度試してみてください。

https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/eyelotion/(情報提供:参天製薬)

 

乳幼児や子供に目薬をするときも大変ですね。「なかなか目を開けてくれなくて目薬がさせないんです」というお声をよく聞きます。確かに無理やり目を開けようとすると暴れて目をギュッとつぶってしまいますし、泣くと涙でお薬が薄まって効果がでにくくなります。子供に目薬をさすときにおすすめしている方法があります。この方法なら赤ちゃんが出ている時でも目薬がさせそうですね。

  1. あおむけに横になります。
  2. 目を軽く閉じたままにします。
  3. 拭き綿やウェットティッシュで目の縁をやさしくきれいに拭きます。(アルコール成分が含まれたものは目の粘膜を痛めるのでダメです)
  4. 上まぶたと下まぶたの合わせ目のところに目薬を1滴置きます。目がしら側はまつ毛も少なく置きやすいです。
  5. 下まぶたを軽く下に引っ張ると、まぶたの隙間から目薬が目の表面に流れて入っていきます
  6. 目頭を1-5分ほど軽く押さえます
  7. 目のふちにこぼれた目薬はしっかり拭き取ります。

一部の緑内障治療薬など目薬の種類によっては冷蔵庫で保管した方が良いものもありますが、とくに指定がなければ冷蔵庫でも室温でもどちらでも問題はありません。目にしっかり入っているのかどうかを実感したい場合には冷蔵庫で冷やしておいた方がわかりやすいです。子供など目薬の刺激でびっくりしやすい場合には室温の方が刺激が少なくて良いかもしれませんね。

日常の診療でよく質問があることや、言葉は聞いたことがあるけど詳しくは知らないこと、もっともっと知っておいていただきたいことなど、このブログに載せていきたいと思います。