疾患説明 緑内障
緑内障
緑内障は、眼球内の圧力(眼圧)が高まって視神経が侵され、視野(見える範囲)が狭くなり、最終的には失明に至る可能性がある病気です。適切な治療が行われないと失明することがありますが、非常にゆっくりと視野が欠けてゆくため、本人が気付いたときにはすでに手遅れである場合がしばしばあります。
緑内障に二つのタイプがあり、(1)目の痛みや吐き気、視力低下などの強い症状が急激に現れる「急性緑内障」と、(2)自覚症状がないまま徐々に進行する「慢性緑内障」の2つに大別されます。
急性緑内障では、眼圧が急激に上昇し、見えにくさだけでなく、激しい頭痛や吐き気・嘔吐といった脳や消化器の病気に似た症状を伴い、数日の間に失明してしまう場合もあるので注意が必要です。
一方、房水の出口の目詰まりがゆっくりと生じる場合には、慢性緑内障となります。このタイプの緑内障は、初期には全く自覚症状がなく、10年や20年といった長い間にゆっくりと進行するために本人の気がつかないうちに視野が狭くなってしまいます。
現在の医学では、障害を受けた視神経を元に戻すことはできません。したがって見えにくくなってから治療を開始した時にはすでに手遅れということも多いです。そのため、緑内障は早期発見・早期治療が大切といわれる由縁です。近年行われた大規模な緑内障の疫学調査から、我が国では40歳以上の20人に1人が緑内障になっており、そのおよそほぼ9割の患者様が、自分が緑内障であることを知らない未診断の状態になっているであることが判明しました。毎年人間ドックや健康診断を受けている方は見つかる可能性も高いですが、それ以外ではたまたまほかの症状で眼科に受診した時に偶然発見されることが多いようです。つまり、眼科を受診することがなければ、気づかないまま緑内障が進行する可能性が高いことになります。まずは眼科で緑内障の相談をすることが重要です。
緑内障の検査では、定期的に眼圧や視力を確認するとともに、こまめな視野検査が非常に重要です。当院では短時間で詳細な視野が計測できる視野計や、視神経とその周囲の網膜のダメージを写すことができる眼底カメラ(OCT)などの機器も最新のものを取り揃えています。
緑内障の治療は、目薬を点すことでその人にとって安全と考えられる範囲まで眼圧を下げることです。薬の効果が得られなかったり、副作用が強く出てしまうなどで、点眼の継続が困難な場合には手術が必要となります。当院では、傷口を作らずに、日帰りで行える最新のレーザー手術治療を導入しました。また、白内障の手術と同時に緑内障の手術を行うこともできますので、患者様への負担を大きく軽減できるようになりました。
最後に繰り返しになりますが、自分自身で気づくことが難しく、また、気づいた頃には大きな障害が出ている疾患ですので、症状がなくても眼科への受診が重要であり、診断がついたらこまめに視野検査などの受診が重要である疾患であることを理解しておくことが非常に重要です。