疾患説明 白内障
白内障
白内障とは水晶体(カメラでいうレンズ)が混濁した状態です。原因の90%が加齢によるものですが、アトピーや糖尿病といった病気やケガによって起こることもあります。濁ったレンズを通してモノを見ることになるため、かすんだりぼやけた見え方になったり、眩しさを感じたりすることが多いです。乱視も強くなってモノが二重や三重に見えたりすることもあります。
治療法は、進行を抑える点眼薬はありますが、それでも進行して見えにくくなった場合、見え方を改善させるためには手術が必要となります。手術を受けるタイミングは人それぞれ様々です。一般的には日常生活に支障が出始め、メガネでも改善が乏しくなれば手術のタイミングとしては早すぎることはないかと思われます。手術のリスクも考えると、まだ見え方が問題ないうちに手術を行うことはタイミングとして早いと思われます。しかし、白内障が進行しすぎると、手術の難易度が高くなると言われています。
白内障手術とは
白内障の手術は、目の中の濁った水晶体を取り除き、眼内レンズに置き換える手術です。当院ではわずか2.5mmの創口で手術を行いますのでほとんどの場合で縫合する必要はなく、術後の乱視の増大や感染症へのリスクを軽減いたします。また、目の状態などで多少の個人差はありますが、手術時間はおおよそ5〜10分と短く、麻酔方法も点眼麻酔などの局所麻酔によって痛みがほとんどありませんので、患者様の不安・負担の大幅な軽減が期待できます。
白内障手術は非常に安全で成功率の高いものですが、それでも合併症が皆無というわけではありません。万一合併症が起きた場合にもそれに対する最善の治療をすみやかにおこないます。緊急の処置や再手術が必要になることがありますが、当院では手術設備が整っており、白内障手術はほぼすべての症例で当院で対応可能となっています。
眼内レンズについて
白内障以外に大きな異常がない場合には、手術によって水晶体の濁りを取り除き、濁りのない透明な眼内レンズを挿入することで、術後は非常に明るく、色合いも鮮やかに見えるようになります。いったん眼の中に入れたレンズは、通常メンテナンスをする必要がなく、長期間透明な状態を維持し、不具合がなければ一生涯使用することが可能です。眼内レンズにはいくつか種類があり、どの距離のものを見ることが多いか、メガネに慣れているか、メガネをかけたくないか、車を運転することが多いか、近くの細かい作業をすることが多いかといった手術後の生活スタイルを考えて、患者様に適したレンズを選ぶことが大切になってきます。
単焦点眼内レンズ
通常、健康保険適応として一般的に用いられる単焦点眼内レンズは、水晶体のように厚みを変化させてピントを合わせることができないため、遠く、中間、または近くのどこか1箇所にピントを合わせます。スポーツや車の運転など遠くを見ることが多い方は、遠くに焦点を合わせる眼内レンズを挿入し、手元をみるときにはメガネ(老眼鏡)が必要となります。逆に手元にピントが合うような眼内レンズを入れた場合には、老眼鏡がなくても裸眼で手元にピントが合いますが、遠くを見るときにはメガネが必要になります。
単焦点眼内レンズ価格表
年齢 | 費用(窓口負担)※片眼 | お知らせ | |
---|---|---|---|
70歳未満 | 3割 | 約50,000円 | 「限度額適応認定証」をお持ちの方は負担の上限額が所得状況等により設定されています |
70歳以上 | 70~74歳 2割 |
約18,000円 | 同月内の負担合計が月額上限以上は支払いが免除されます 片眼でも両眼でも上限額は同じです |
75歳以上 1割 |
約18,000円 |
多焦点眼内レンズ(マルチフォーカルレンズ)
単焦点眼内レンズは、ピントの合う距離が1ヶ所になるため、遠方または近方を見るときにはメガネが必要になります。一方、多焦点眼内レンズは遠方、中間距離、近方など複数の距離にピントが合うため、術後はほぼメガネを使うことなく裸眼で快適な日常生活を送ることができる可能性を高くできます。いわば白内障だけでなく老眼も同時に治療する感覚に近いと思われます。ただ、老眼を治療すると言ってしまいますと、昔の若い頃の目の状態に戻るような大きな期待をしてしまうと思いますが、実際にはそうではありません。多焦点眼内レンズは外からの光を遠くや近くに振り分けるため、見たい距離の光の量が不足しがちとなり、見え方の質が落ちると言われています。また、夜間には車のライトなどが広がって見えたりするなど、多焦点レンズ特有の見えにくさもあります。近方にもピントが合うと言っても、より手元の細かいものを見ようとすれば、やはりメガネをかけた方が見えやすくなります。デメリットになりうる点もいくつか説明しましたが、それでも術後の患者様の満足度は95%前後と非常に高いです。ですので、こういった多焦点レンズの特徴をしっかり理解していただいた上で、手術を受けていただくことが大切だと思っています。また、乱視や他の目の病気のために多焦点眼内レンズをお勧めできないこともありますので、ご希望の方は、医師にお気軽にご相談ください。
多焦点レンズ価格表
多焦点眼内レンズは選定療養となり、白内障手術費用は保険診療で、
多焦点レンズ費用のみ自費で追加費用をお支払いいただくことで手術を受けられます。
モデル名/会社名 | 焦点数 | 乱視有無 | 片眼レンズ代(税込) |
---|---|---|---|
クラレオン ヴィヴィティ (アルコン社) |
3焦点 | × | 310,000円 |
クラレオン パンオプティクス (アルコン社) |
3焦点 | × | 310,000円 |
クラレオン パンオプティクス トーリック(アルコン社) |
3焦点 | 〇 | 340,000円 |
ヴィヴィネックス ジェメトリック (HOYA社) |
3焦点 | × | 310,000円 |
ヴィヴィネックス ジェメトリック トーリック(HOYA社) |
3焦点 | 〇 | 340,000円 |
※ 上記費用に加えて手術費用(保険診療分)が別途かかります。