前回は緑内障の概要についてお話しをしました。今回は緑内障の検査についてお話しします。

緑内障という病気は日本緑内障学会で、「視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」と定義されています。
わかりやすく言えば、「緑内障にかかると、視野と視神経に緑内障特有の所見が出てきて、眼圧を下げることで病気の進行を抑えることできる」ということです。つまり、緑内障と診断するには視野検査と視神経の検査が重要で、治療には眼圧の値が重要になると言えます。

眼球と視神経がつながっている部分を視神経乳頭と呼びます。
通常、視神経乳頭の中心はやや陥凹しているのですが、緑内障が進行するとこの陥凹が拡大してきて、緑内障特有の特徴的な形になってきます。ただ、視神経の大きさや形には個人差があり、また診察する医師の判断にもばらつきがあるため、近年ではOCTという器械で視神経の周りの神経線維の厚みを計測し、ダメージを受けている部分がないかどうかを計測しています。そして、視神経の所見から緑内障が疑われる場合には視野の検査をしていきます。

視野検査には広い範囲を調べる動的視野検査と、主に視野の中心に近い部分を細かく調べる静的視野検査があります。
通常、緑内障の初期には静的視野検査を行い、初期に変化が出やすい中心から30度の範囲を重点的に調べます。視野にも視神経乳頭の所見に相関した特徴的な所見が出てくるのですが、これにも個人差があります。通常は鼻側から、強度近視を伴う場合には耳側から視野の感度が部分的に悪くなり、視野が欠けてきます。そこからちょっとずつ拡大して、盲点と弓形につながってきて、さらに拡大して見えにくくなっていくパターンが多いです。

前回のお話しでも書きましたが、視野が欠けてきても脳が欠けた部分を補って、まるで見えているように視界を作り出してしまいます。ですので、自分では気づくことができない視野の欠けを確認するための検査をすることはすごく重要なことです。
視野検査はその日の体調や天気、目の疲れ具合によって結果がかなり変動します。ですので、緑内障の進行が疑わしい時期には数ヶ月に一度は検査をして、結果の変動をまめに調べていくのが良いと思います。

眼圧については、定義にもあるように緑内障の診断には必要ではないのですが、治療を行う場合にはすごく重要な数値になります。正常な眼圧の範囲は5〜21mmHgといわれていますが、日本人はこの正常範囲に眼圧が入っていても緑内障になる方が多いため、眼圧が高いと緑内障にはなりやすいといえますが、正常範囲だからといって緑内障にならないとはいえず、注意が必要です。

眼圧については、治療と大きく関係するため、次回にお話ししたいと思います。